未来が見えないアラサー男はお笑い芸人になった方がいい
タイトルと本文がちゃんと関連性のある記事を書こう。
「未来が見えないアラサー男はお笑い芸人になった方がいい」
誰にも言ったことがない私の持論だ。
22歳かそこらの私は、芸人養成所へ通っていた。
昔からお笑いが好きで、学生時代にはイベントの機会に即席のコンビでネタを披露したことも何度かある。
社会人生活から抜け出すための言い訳も半分あるが、このチャンスにやりたいことをやってみようと思ったのだ。
幸い、当時のテレビはネタ番組最盛期と言えるほど、様々なお笑い番組を放送していた。劇団ひとりが「お笑いブームは終わる」と予言していたが、笑うのが嫌いな人なんていない、だから、お笑いのブームが去るなんてありえない、と私は思っていた。
そして、その予言は現実のものとなったのだ。爆笑レッドカーペットも、オンエアバトルも、クソ番組エンタの神様も終わってしまい、若手芸人の出じろが一気に減った。
お笑いデフレの時代に売れないお笑い芸人として下積みを送る自信が無く、結局私は卒業を待たずに養成所を抜けてしまう。因みにM-1もキングオブコントも一回戦で落ちた。
あの頃よりも間違いなく、今の方が面白いネタを書ける自信がある。
その自信はやはり社会経験と人生経験の蓄積によるものだ。わかりやすいボケに対してわかりやすく突っ込んだり、二分ネタに何回ボケを挟まなきゃ……というような型にはめすぎた考え方も駄作の原因だったと、今となってはよくわかる。
そしてもう一つ。
「若い顔から放たれるボケは面白くない」
これがほんとうに大きい。シュッとしたツルツルの若者が少し面白いことを言ったとしても、どうしても大学生臭さが消えない。そこからあれこれと経験してテレビに出るまで努力と我慢ができればいいが、それがやはり簡単ではない。
かといってゴリゴリのおじさんが「若手」というくくりで必死にやっているのもビジュアルによっては非常に痛々しくなってしまう。
このバランスが取れてくるのが30歳前後だと思う。
30を超え、若さが霞んでくると、何でもない普通の顔をした少しくすんだ男の発言に面白みが出始める。
幸い、一般的な人生においても30歳というのは人生の岐路の一つのような気がする。そこで一度立ち止まって、一切の希望を失ったとしたら、一つの選択肢として芸人になることを考えてもいいんじゃなかろうか。
NSCに入りたての若造よりはいいネタが書けるはずだ。
当然、お笑いマニアでもなければ見たこともないような、売れないお笑い芸人を何千組と倒さなければならないが、幸い芸人というものは、高度なIT技術も優れた容姿も運動能力も必要ない。
いい年こいて始めても遅くはない職業の一つだ。そもそもお笑い芸人というものは、いつ始めても嘲笑の対象だから気にしなくていい。
さぁ、羽ばたけ。
君はいつでもなれる。売れない芸人に。