スウィーテスト多忙な日々

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満喫ゾンビ 後編

前回のお話

tthatener.hatenablog.com

 

 

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「来ますかね?」
 私はムツゴロウさんに尋ねる。
 ムツゴロウさんはこちらに目を向けず、口元に人差し指をあてて私を制した。スゥっと目が鋭くなる。


 モグモグ、モグ、クチャッ、モグモグ。
「あぁっ」


 モグモグ、クチャッ、モグモグモグ。
 クチャクチャクチャ。
 モグモグ、クチャクチャクチャクチャ、ペチャペチャ。


「出た」
「来ましたよぉっ」
 ムツゴロウさんは興奮しているのか、身震いした。
「いいですねぇ~。彼らはこうして、食事の味を楽しむわけですねぇ」
 男がちらりとこちらに目をやって、少し嫌な顔をする。


 クチャクチャ、モグモグ、クチャ、モグ。
「こちらに気がついても、音は止まないでしょう? 彼らは自分が音を立てていることに気が付いていないんですねぇ」
 クチャ。ムツゴロウさんの声が聞こえたのか、男は口を止めた。


「ほら、今気が付いた。可愛いですねぇ」
 ムツゴロウさんはおもむろに立ち上がり、ツヤツヤした男の髪に頬ずりする。
 男の耳が赤く染まった。
「ほぉらほら、可愛いねぇ。もっとお食べ」
 ムツゴロウさんは箸を取り上げ、チキンを男の口に運ぶ。


 男はまた恥ずかしそうに口を動かす。モグモグ、クチャ、モグモグ。
 そうしてひとしきり食事を終えると、今度はカス取りの時間だ。
 チュッチュッチュッ。
 男は歯間に詰まった食べカスを取るべく、キレのある音を響かせる。
「上手に鳴きますねぇ。ネズミですよぉ」
 ムツゴロウさんが褒める。
 男は顔を赤らめる。まんざらでもない様子だ。


 チュッチュッ。
 シーン。
 チュッ!


「可愛いですねぇ~!」
 たまらない様子で男に飛びつき、胸に顔をうずめたムツゴロウさんは、そのままワシャワシャと体中を撫でまわす。
 私もなんだか幸せな気分になる。かわいいなぁ、コイツ。


「ウチで飼っても……いいかな?」
 問いかけに、男は嬉しそうに目を輝かせた。
「きっともっと好きになりますよぉ」
 ムツゴロウさんも嬉しそうだ。
 家に連れて帰り、エナメルのベルトで叩くと、とてもいい声で鳴いた。
 やったぜ。

 

 

アレな感じになってしまいました。宜しければワンクリックずつお願いします。

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