スウィーテスト多忙な日々

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きょうのできごと

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 今朝は七時に起きた。


 本当はもっと寝ていたかったんだけれど、ゆっくりできるこういう日に限って、散歩へ連れていけという催促がいやに大きく耳に響く。まるで私の生活指導係だ。今日が休みだと知っていて、昼過ぎまで寝ようという魂胆がバレているようだ。ありがたいといえばありがたいが、こんな日ぐらいはゆっくりさせてほしいとも正直思う。
仕方ない。あとで昼寝を追加しよう。起床時間を早めて、嫌々ながらサンダルをひっかけた。


 ペットの「ユミちゃん」は、人間の三歳児ぐらいのサイズで我が家に迎え入れられてから、ものすごいスピードで大きくなった。今では私の五倍か十倍の体重に成長している。牛だ。白と黒のブチの牛だから、多分乳牛だろう。
 玄関を出ると、ユミちゃんはのっそりとした足取りで私の元にやってくる。その背中に手作りの鞍をかけて跨る。ポンポンと背中を叩くと、彼女は必ず一声「もぉー」と鳴いてから歩き出すのだ。
 この時代、民家から馬に乗って出てくる人はなかなかいないと思う。それが牛ならさらに少ないだろう。というか、そもそも牛は乗るものではないはずだ。酪農家やそういった有識者が見たらぷんぷんものかもしれない。しかし、これはユミちゃん自身が望んだスタイルなので、私にしてもどうしようもないことだ。


 我が家の近辺は未だに舗装されていない道だらけなので、外国人が歩くよりは牛が歩いている方がまだ自然に見える。そんなでこぼこ道を牛歩で十分かけて進むと、雑草だらけの公園に到着する。ここは彼女のお気に入りらしく、こっちで舵を取らない限りはたいていここが目的地になる。


「あ、モウちゃん!」
 ろくに手入れもされていないこの公園を好むのはユミちゃんだけではない。この勇太郎少年もその筆頭だ。
「ユミちゃんだよ」
 彼に会うと、必ずこの会話から始まる。お決まりの流れなので、ニ割程度の語気で返す。
 私は下牛して、だから誰なんだよそれ、と呟く少年に牛上を明け渡した。


「わーれはうーみの子しーらないのー」
 勇太郎少年はユミちゃんに乗ると、実に機嫌よく歌う。歌詞が間違っていようが彼には関係がないようで、日によって違う。最近食べたんだろうな、というような食べ物の名前が出てくることが多い。
「さーわあくーりいむ美味しーいねー」


 蒸し暑い。カラッとした歌声でもこの湿気はごまかせない。私はTシャツを脱いで、上半身だけ裸になった。白いTシャツの下から真っ黒な体が現れる。毛だらけだ。腕や脇に留まらず、毛は肩や体側にも及んでいる。貧弱な虫やベビースターラーメン程度なら絡みついて抜け出せなくなるぐらいの毛量で、さながら魍魎だ。
 手のひらを耳にかざし、カエルやトカゲの足音を探る。私の昼食と、量によっては夕食になる。大きさによって草木を揺らす音の質が変わるので、なるべく大きな音を待った。
 二時間。今日はウシガエルが二匹と、ヨモギを獲た。


そういう日曜日を過ごさなかった。

 

 

 

なんかわからんけどお願いします。

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