スウィーテスト多忙な日々

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迷いと決断と血迷いと

 

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庭掃除をしようか。どうしようか。かれこれ二か月手を出せずにいる。


田舎にある我が家の庭は田舎なりの規模があって、ちょっと部屋の模様替えをしようかという容易い決意では手を付けられない。
芝刈りから始まって、雑然と生えた何十にも及ぶ観賞植物や四メートル級の庭木の剪定、それらに手当たり次第に絡んでいるよくわからないツル植物の除去など、やることが山済みだ。


それだけでも頭が痛いのに、敷地外にある竹林の一本が門の手前まで倒れてきている。これもまた細切れに切断してしまわないと処分ができない。
つくづく思うのだけれど、先送りにしているとこういうときの決断力がどんどん失われていく気がする。芝生に生えた名前も知らない猫じゃらしのような謎の草を放っておいたら、これ幸いとどんどん数が増えてしまい、今では庭の大部分がこいつに乗っ取られてしまっている。


 やるなら今だ。今しかない。
 私はどうにかこうにか自分を奮い立たせて、鎌を握った。
 まずやることは、必要以上に伸びてしまった線の細い茎葉を切ることだ。立派なテッポウユリも、腐るほど咲いているブーゲンビリアも、お構いなしに切り落としていく。
 なんて勿体ないことを、と思うような綺麗な花もあるが、そんなことを考えていたら先へ進めない。どうせまたすぐに咲く。一時間ほど鎌と頭を振り回して踊った。


 細かい部分を終えると、ここからが本番だ。庭の約半分を占める芝生を機械で刈っていく。これがまた時間がかかる。適当にやってしまうとただ芝生を寝かせてしまうだけで刈り取れなかったり、あるいは攻めすぎて土までえぐってしまったりする。最も大胆さと繊細さが求められる。くそっ。
 二十五メートルプールの何十万分の一もの汗をかいてそこまで終えると、気分もハイになってくる。緑色なら何でもかかってこいという心持ちだ。腕や足に纏わり付く蚊などはもはや敵でもなんでもない。吸っとけ。


 クライマックスだ。芝刈り機をチェーンソーに持ち替え、ふてぶてしく鎮座する木々を睨む。
 覚悟しろ。俺はチェーンソーを持っているぞ。
 レバーを握ると、鈍くも鋭い回転音が放たれて、内気な少年少女らは我先にと家に逃げ込んでいく。
 おい、そこのお前。ちょっと鞄がぶつかったぞ。
 気をつけろ。俺はチェーンソーを持っているんだからな。

 

 

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