今年は今年だけ。夏も夏だけ
悲しい。ただひたすらに悲しい。
それはしばらく忘れていた感情で、私は少し動揺してしまった。
何かにものすごく腹が立つことはあっても、
例えばうつ病だとか、
最近、KANA-
私が悲しく思ったのはそれが原因なわけではないけれど、
そう言うと、岡本が「いや、お前はまともじゃないからな」
岡本は、避妊具で有名なかの会社の子息で、
目玉焼きには醤油だし、お尻はトイレ紙で拭くし、
「お前、あのオカモトなんだってな」
「ま、まともじゃないってなんだよ」
突然のことに、私は戸惑ってしまった。まともじゃないだって? 何を言うんだ。
とは言うものの、実は、
「そうだよ。俺はまともじゃないんだ」と口に出してしまえば、
「じゃあ、まともってなんだよ! お前はまともなのかよ!」
「俺はまともだよ」
「やめて! 言わないで!」
効く。効いちゃう。岡本はまともだ。強がってみたけれど、
「まともじゃなきゃ悪いのかよ! いや、違う! まともだよ!」
私は、口論になるとすぐに泣いてしまう。
「わかってるだろ。まともじゃないんだよお前」
「なんだよ! なんでそんなこと言うんだよ!」
同じ学校に通い、同じコミュニティに所属していたのに、
「まともじゃない! まともじゃないことを認めろよ! まともじゃなくていいだろ!」
岡本は私を諭すように、両手を広げて叫んだ。
「え?」
「お前は、お前じゃないか――」
ハッとした。私は、
そして、二人は見つめ合い、キスをした。
そう、キスをしたのだ。優しいキスだった。
岡本のことを男だと思っていた方は驚いたかもしれない。岡本は、
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