三角屋根は魔女の家
夢の話をしたからか、夢を見た。
舞台は、私の実家のある部落だった。自動販売機も商店もない、
そこで、私は恩師の後をつけていた。
一体何の用があるのかは、自分でもわからない。
狭くて通りの多い路地を慎重に潜み、
今はどこもかしこもアスファルトが敷かれてしまっているけれど、
幼少期の頃、周りは自然だらけだった。家の裏手に回ると、
トンネルは雨の日の避難所で、トカゲやセミを捕獲する狩場で、
私は『となりのトトロ』を見ると、
恩師は突然振り向いた。
途端に目が合って、
あ、そうなのか。
その顔を見てすぐに気が付いた。彼は
「なんで尾行してるのかな?」
恩師は少しだけ威圧感を溶かした笑みを私に向ける。
私はばつが悪くて、彼の問いかけに固まり、黙り込んでしまった。
誰も行動を起こさなければ、夢の世界はスイッチが切れてしまうのだろうか。そこで私は目を覚ました。
なんで尾行しているのか、か。
起きてみると、その理由ははっきりとわかる。
私は恩師のように、あの人のようになりたかったのだ。
憧れの風景と憧れの人物。その二つが重なり合った夢に、
「おい、今日、ご飯奢れよ」
スマートフォンを操作し、恩師にメッセージを送った。
いい日になりそうだ。寿司でも食おう。
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