私が何気なく立てた人差し指を、どこかの民族は侮辱と捉えるかもしれない。だから私は人差し指を仕舞い、中指を立てるのだ
フードコートのテーブル。
健介の眉間には、
「なにしてたんだよ」
健介は険しい顔で言う。非難を含んだ口調だ。
「買い物だよ」
「二人ともヒマしてたからね」
私が答え、葵も続いた。
「そういうことじゃなくてさ……」
健介は依然硬い表情をしている。
「誘われなくていじけてんの?」
私はまさに今思いついた予想を口にする。
「なんでだよ。子供じゃないんだから」健介は渋い顔で答えた。「
「なんでって、なんで?」
首をかしげながら、私はテーブルの上に手を乗せた。
休日にショッピングセンターをぶらついていると、
「いや、そういう趣味なん? お前ら」
「そういう趣味って?」
「いや、その……」健介は口ごもりながら言う。「同性……
「あははは」葵が笑った。「なんだよ。気持ち悪いなぁ」
「俺たち、友達だから」
そう、私と葵はただの男友達だ。
「友達だからって手は繋がないだろうよ」
「いやいや……」
おかしいだろ、と健介が否定し、私たちはそれに弁解する。
これじゃあらちが明かない。嫌々ながらも私は口を開く。
「今更、改めてこんなこと言うのも恥ずかしいんだけどさ……」
私は言った。「俺達、仲いいんだよ……」
「はぁ、そう……いや……」
健介は絞り出すような声で返した。
わからん奴だ。
こいつには仲のいい友達があまりいないのかもしれない。
貝殻繋ぎぐらい、誰だってやるだろうに。
もしかしてこいつ、ピュア?
「わけわからん」
健介の呟きは、誰にもキャッチされることなく、マクドナルドの従業員の声にかき消されるのであった。
今週のお題「夏休み」
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