わざわざワシの愚痴を聞いてくれ
愚痴が言いたい。
愚痴を言わせて欲しい。
愚痴を言う。
誰が悪いのかというと「私の性格が」としか言えないのだけれど、それでも言いたい。スーパーでのあのやりとりを。
環境問題の改善策としてレジ袋が有料になって久しい。不要なビニール袋が増えるのが嫌なので買い物に出る際はエコバッグを持つようにしているのだけれど、たまに忘れてしまうことがある。そんな時に店員が訊ねる。
「レジ袋はよろしいですか?」
よろしくないんだわ。
見りゃわかるだろうとまではもちろん言わないけれど、見て判断してほしい。カゴいっぱいに入った商品を入れる袋、持っているように見えますか? これでもかと手ぶらをアピールしても、彼らは同じように「よろしいです」を前提に聞いてくる。
「レジ袋おつけしますか?」
どうしてこれじゃダメなんだろう。これなら「はい」か「いいえ」の一言で済む。
それなら
「レジ袋はよろしいですか?」
の質問にも「はい」か「いいえ」で答えたらいいじゃないか、と思うかもしれない。しかし、そうはいかないのである。
「レジ袋はよろしいですか?」
「はい」
はい。よろしいです。いりません。これは返事として難なく成立している。
「レジ袋はよろしいですか?」
「いいえ」
…。
どっちや。
いるんか?
いらんのか?
いるねん。不要の否定やから必要やねん。見てみぃワシ手ぶらやんか。ポケットにビニール袋入ってるけど言われるまで出さんようなヤツに見えるか? 「知りません」? せやろなぁ。初対面やもんなぁワシら! なぁ!
頼む! ワシ、ビニール袋持ってへんねん! くれや! なぁて!
ほらこうなる。
どうしてくれるんだ。一度声を荒げた手前、今更きちんと対応されようが「ありがとさん」とは言われへん。
「いやいや。それなら『ください』って言えばいいだけだろう」
そういう意見もある。
うん、うんうんわかるわかる。そうだよね。だけどクレーマーの意見も聞いてよ。
実際「よろしいですか」と訊ねられると「ください」と返しているけれど、言われる度に毎回小さな不満のカスが溜まっていく。ご覧下さい。よろしくなさそうに見えませんか? と言いたくなる。
「そんな面倒の臭い性格をしているならマイバッグを忘れるなよ」
そういう意見もある。
その通りだ。
何一つ反論できない。
ちくしょう。
負けだ。
悔し涙を煮沸して、水蒸気へと昇華させる。それらが集まりに集まって降っているのが、今日のこの雨だ。
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