スウィーテスト多忙な日々

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梅雨がきた

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おえっ
初めて、シラフでえずいてしまった。同時に、全身に鳥肌が立つ。
何十、何百もの羽アリが、玄関の照明を中心にグルグルと飛び周っていたのだ。


キッチンに向かう最中のことだった。
廊下の突き当たりにある玄関に何気なく目をやると、私は本当に情けない声をあげてしまった。
「ひゃあああ……」
オレンジ色の玄関照明から生み出されたように、大量の羽アリが飛んでいる。虫に免疫がある方だと思っていたが、想像を絶する光景に思わず声が漏れてしまったのだ。


何だこれは。どこから来たんだ。
我が家では生き物は飼っていない。たまにアシダカグモやヤモリが顔を出すことはあるが、彼らはただの居候だ。家の中でこんなに大量の虫が発生するのは夏ごろの黒アリぐらいで、こんなことは初めてだ。
家中を走り回り、開いている窓を探した。リビング、風呂場、キッチン。どこもきちんと閉まっている。
きちんと閉まっているということは良い事だけれども、今回に限ってはそうではない。死体があるのに犯人が見つからないのと同じだ。どこかが開いていないと、どこかに原因を見つけないと、眠れない。


だとするともう、そこしかない。
決死の覚悟で玄関に飛び込んだ。


一見、きちんと閉まっているように見える玄関の引き戸。触れてみても確かに鍵がかかっている。
ふと足元に目をやると、そこにはテーマパークの入園口さながら、あるかもわからないほどの引き戸の隙間から続々と入園してくるパティーアント達の列ができていた。
私はそこでカッと吹っ切れて、掃除機で彼らを一匹残らず吸い取り、水洗いし、水気を拭き取り、粉をかけ、油で揚げ、ホカホカの米の上へ――

 

 

 

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