2019-05-01から1ヶ月間の記事一覧
おえっ初めて、シラフでえずいてしまった。同時に、全身に鳥肌が立つ。何十、何百もの羽アリが、玄関の照明を中心にグルグルと飛び周っていたのだ。 キッチンに向かう最中のことだった。廊下の突き当たりにある玄関に何気なく目をやると、私は本当に情けない…
扇風機に拳をぶつけて、「いてっ」と口走ってしまった。 三十余年生きてきてそんなことしか言えないなんて、なんてしょうもないんだ。たかがリアクション、されどリアクション。こういう時こそ、その人の知性が問われるのかもしれない。ちなみに沖縄では、何…
百人中何人がそうなのかはわからないけれども、私は陰毛が縮れているので、放電中のテスラコイルのような股間をしている。 毛色は黒だから、暗黒属性のスパークが木と巣を包んでいるような格好だ。昔は木の幹の周りにしか生えていなかったのに、放電は徐々に…
今日は、この時間まで何もしなかった。ある人は百キロ走っただろうし、ある人は結婚しただろうし、ある人は何億もの金を動かしただろう。そういう、歴史的な日に、私は何もしなかった。 よくない。非常によくない。手を継続的に動かしたのは食事を作った時と…
今週のお題「アイドルをつづる」 ちっちゃかっても乳首で遊べるし と、ダウンタウンの浜田雅功が言っていた。それが面白くて、だけど少し衝撃的だった。 浜田雅功がそういう主張めいたことを話すのは珍しい気がする。浜田雅功はお笑い芸人だけど、今はどちら…
その夜、私は河口を目指して歩いていた。なんのことはない。ちょうど海と川の繋がる辺りのコインパーキングに、車を駐車していたのだ。 「那覇」という、島の中枢でお酒を飲み交わし、帰路に向かう道中のこと。その川に釣り糸を垂らして、木製のベンチに腰掛…
我が家に霊が出た。 私は恐れおののののいてすぐさま高名な霊能者を呼んだ。高名な霊能者というのはただの巧妙な霊能者の場合もあるらしいので、果たしてその人が有能なのかは今のところまだわからない。 「霊ですとな」 霊能者はその日の内に訪れて、我が家…
「ひえー!」 私は思わずそう口走ってしまった。 マサトシが「やりたい事が百個ある」と言ったからだ。 「お前!なんか怪しい宗教に入ったんじゃないだろうな!」 思わず口走る。「そんなんじゃないよ」 マサトシは余裕の笑みを浮かべた。 あの大谷翔平が書…
ラジオを聴く人は恐らく少数派だと思うが、こんなに勿体ないことはないと思ってしまう。芸人のラジオは面白い。その中でも衝撃的なのは新進気鋭のコンビ、霜降り明星だ。 彼らはM-1グランプリで優勝し、R-1グランプリで優勝し、最近ではモノマネグラン…
LINE Payがお金を配っている。千円分のLINEポイントを"無料で"友達に送ることが出来る、というキャンペーンだ。以前あった、"購入額の20%ポイントバック"キャンペーンとは違って、何も買わずにポイントが得られる貧乏人歓喜のキャンペーンらしい。 私は喜び…
前回のお話 tthatener.hatenablog.com 「来ますかね?」 私はムツゴロウさんに尋ねる。 ムツゴロウさんはこちらに目を向けず、口元に人差し指をあてて私を制した。スゥっと目が鋭くなる。 モグモグ、モグ、クチャッ、モグモグ。「あぁっ」 モグモグ、クチャ…
ペチャペチャ、ニチャニチャチュッチュッチュッ マンガ喫茶というものは、食事を注文するとニ・三時間だとか、あるいは無制限に雑誌を楽しむことができる。Mangar(マンガー)にとってはとても助かる商売だ。そういう、食後長時間居座るシステムなので、自然と…
tthatener.hatenablog.comからの続き まず、『本物の洗濯ばさみ』とは何なのか。その説明が必要だと思う。 私たちが『本洗』と呼ぶそれは、めったにない珍しいものだが、例えば百円均一に売っている三十個セットの中にだって隠れていることがある。 素材もま…
行きたくない飲み会に行って、今帰宅した。行きたくない飲み会でも、行ってしまえば楽しいこともある。腹をくくらなきゃいけないので、そう自分に言い聞かせて参加した。そもそも、お酒を飲むこと自体は好きな方だと思う。それなのにどうにも足が進まないの…
5/15、つまり昨日。私、現・中川美希は台北へ向かった。 航空券はいいとして、パスポートの写真と私の顔は、あまりにもかけ離れている。中川美希は女で、私は男だから、当然だ。猿でも間違えないんじゃないだろうか。 そもそも、私は顎髭さえ生やしたままだ…
改めまして、こんにちは。 中川美希です。 tthatener.hatenablog.com 私は上記の理由で、そう名乗らざるを得なくなってしまった。 もう少しだけ詳しく話すと、私は元・中川美希と、衣服と免許証を交換した。彼女の目的が一体何なのかはわからない。 移動手段…
私はビーチにいた。 暇を持て余し、外に出る気になり、ノートと小説と折りたたみのチェアを持って、近所のビーチへと向かったのだ。 日曜日。海にはパーティーをしている学生らしき団体や、ベビーカーを押して散歩をする女性、アジア圏の旅行客らしい夫婦な…
「だからね、キミ、これはつまり人類の心の形が変わってきているんだと思うんだよ」 心理学者は酔っている。右手には、泡立った黄色い液体。グラスの上部にははぐれた泡がへばりついて、輪を作っている。 「それは、例えば顎が退化して細くなってきていると…
あれこれと考えなければいけないことは山ほどあるが、目下の問題はやはり、スカッとジャパンでスカッとできなくなってきていることである。あれを見て、未だにスカッとできている人間がいるのだろうか。きっといるんだろう。何故スカッとできないのか。不思…
子は親の背中を見て育つというが、私はポケモンの背中を見て育った。 赤緑青世代。 いわゆる、第一世代というやつだ。 私はポケモン図鑑を完成させるぐらいにはやりこんでいたが、どうしても納得できないことが一つある。 ポケモンの後ろ姿だ。 第一世代の背…
いつの頃からか、迷惑メールというものに煩わされることがなくなった。と、ふと気が付いたのは、珍しくそういった類のメールが届いたことがきっかけだった。 メールアプリをあれこれ操作していると、そういえば迷惑メールフォルダがあるなぁ、と思い出し、興…
インターホンが鳴った。夜中に。 我が家のインターホンは壊れていて、ピンポンと鳴らない。 「ピン」の部分がどうにかなっているので、ボタンを押すと「ポン」だけが鳴るようになっている。 昨晩、というか日付で言うと今日、それが鳴った。 午前二時頃だ。 …
数年前。 私は東京の台東区というところから、埼玉の中央区というところへ引っ越した。 翌日のこと。 食材を購入しに、徒歩圏内にあるスーパーへ向かった。 貯蓄の鬼と化していた当時、とにかく食費を浮かそうと思い、私は野菜のスープばかり作っていた。 そ…
ブログを始めた、と友人のたかあきに報告した。 「へぇ」 私は度々ブログを始めたりやめたりしている。そのことも、たかあきはご存じだ。 「ちょっと、見せてよ」 足首を持ち上げてくれるタイプのチェアに寝そべり、彼は私に手を突き出した。 元々そうしても…
白い壁にもたれかかると、白が服に移った。 せっかくいい服を着てきたのに、最悪だ。 鞄からペットボトルとティッシュを取り出し、少し水で湿らせる。それをポンポンと服にあてて、様子を見る。 消えない。最悪だ。 ボトルを鞄に戻し、はぁ、とひとつため息…
「彼女ができた、って言ったっけ?」 オロチが言った。 「え、聞いてない。そうなの」 私は顔をしかめた。 オロチと私は高校時代からの仲で、大人になった今も一番の友達だ。 彼は昔、二股ならぬ八股をしていたらしい。だからオロチだ。本人に言うと怒りそう…
「なあ」と「なぁ」に優劣はあるのか。 発端は酔いどれ女の指摘からだった。 「なんでさぁ、『なあ』の『あ』が大きいの?」 隣を歩く千鳥足の山本とは、先月、飲み会で知り合った。 私が小説を書いていると話すと、読ませてくれと言ったのだ。私は即答でオ…
ひゃくじゅうの じゃんけんトーナメントで一位になる人がいる。 トーナメント戦の試合数は、参加人数から一を引けば求められるらしい。 つまり、百人でやれば九十九試合。一人が対戦する回数は六回戦か七回戦になる。 誰かがその中で一位になる。 ちょっとそ…
新しい時代は身を清めてスタートしたい。 そう思ったのはやはり、パンツにはとんでもない数のバクテリアが繁殖しているという記事を見たからだ。 引き出しの下着入れには、二種類のパンツがある。濃紺のものが4つに、少し色あせた紺のものが3つ。どちらも…