あなた!あなたに言ってるんですよ!こっち見なさい!
奇策に打って出た。
外に出てから予定を考えるように、タイトルをつけてから本文を書いてみることにした。
駄策だった。
考えてみると、外に出てから予定を考えたことなど無い。
一度もないのかと問われると、幼少期にはあったのかもしれないが、思い出せるかというと難しい。
驚くべきことだ。なんてつまらない野郎だ。
『外に出る』ということは無限の可能性を秘めているのに、私は今の今まで目的の為だけに行動を起こしていたらしい。
もちろん、外に出たことで何かを思い出し、ついでに用を済ませてしまうことはあるが、それとは全く話が違う。
これは一体どういうことだろう。
みしげーに尋ねた。みしげーとは沖縄の方言で『しゃもじ』のことで、あるいは古くなったしゃもじが変化した妖怪のことでもある。
我が家のみしげーはシリコン製だが、すでに妖怪に変化している。おませさんである。
「あんたは昔からそうだ。考えてから行動する。逆を言えば考えなければ行動できない」
みしげーは気だるそうに言った。
「ここまでだとは気が付きませんでした。それは、どっちがいいんでしょう」
「そんなのはどっちもやってみりゃわかる」
「あっ」私は気が付いた。「やってみりゃわかる、ということは行動が先を推奨するということですね?」
はぁ。みしげーはため息をつく。
「そういうことじゃない。考えろよ」
「あれ?今度は思考が先ですね。困ります。迷います。どっちなんですか」
「あんたはなぁ。一生迷え。誰の意見も聞かず、誰の意見も聞け。どちらかに決めたらそこしか見えなくなるだろう」
「なるほど」
確かにそうだ。
「なるほど、じゃねぇぞ。自分のことは自分で決めろ。お前の責任を負うのはお前だ」
そう指摘し、みしげーは念力で引き出しを開ける。
さすがは妖怪の言うことである。わかったようなわからないような。迷えというのはこういうことだろうか。
「ちょっと待ってください」私はみしげーを引き留めた。「あなたのその色はピンクですか? それとも紫ですか?」
みしげーは答える。
「
薄紅藤らしい。
みしげーはリンクの先にいます。