スウィーテスト多忙な日々

スウィーテスト多忙な日々

誰かの役に立つことは書かれていません……

今日で今日は終わりですからね

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扇風機に拳をぶつけて、「いてっ」と口走ってしまった。


三十余年生きてきてそんなことしか言えないなんて、なんてしょうもないんだ。
たかがリアクション、されどリアクション。こういう時こそ、その人の知性が問われるのかもしれない。
ちなみに沖縄では、何かにぶつかったときには「あがっ」と言う。もしくは「あがひゃー」だ。「沖縄人を探せ!」をやるときには、思い切り頭をぶっ叩けばすぐにわかる。


沖縄人のくせに「あがっ」と言えなかったことにも、いささかショックを受けた。
これを機会に各国のそういうリアクションを調べてみて、ブログに書こうかと一瞬思ったけれども、それもあまりよくない。もしかしたら誰かの役に立ちそうだ。


 この日は友人が帰ってくるということで、予定の空いている数人で居酒屋へお邪魔した。
 これはチャンスだ。ある程度酔いが回ってきた頃で、隙を見計らって彼らの頭を叩いていった。
「あがひゃっ」と、「あがっ」と、「……はぁ?」だった。
 こんなリアクションでは満足できない。店内を見回すと、安居酒屋に不釣り合いな、ハリのあるネイビーのスーツを着た中年の男を見つけた。


 何故か恨みがましい目をする友人たちの視線を背負いながら、光沢のある紙のメニューを片手に男に近づく。
 男は一人だった。テーブルの上、男の向かいには食べかけの料理がいくつか並んでいるので、恐らく相方がトイレかどこかに行っているのだろう。
 私は恐る恐る振りかぶって、メニューを男に振り下ろした。
「ピャーチ!」
 メニューがきれいにヒットすると、男は甲高い声を上げた。
 これだ! 私はぶるりと震えて、すぐさまスマートフォンを取り出す。男の声が聞こえたのか、相方と思しき中年が走り寄ってきた。
「なにをする!」
 男は頭を押さえながら、顔を赤くしている。
「ピャーチってなんですか!?」
 私はそれを画面に打ち込みながら聞いた。
「何がだ!」
「あなた、言いましたよね! ピャーチってなんなんですか!」
「インコだよ! ウチの! クソ!」
 なんだ、ただの名前か。しかし、検索結果には、ロシア語の数字を紹介するサイトが表示された。やっぱり何か意味が? 急いでリンクをクリックする。「ピャーチ」は、ロシア語で数字の――


 私はそこで友人たちと中年と相方に足を掴まれ、それぞれの方向に引っ張られた。リーバイスのタグみたいだ。
 やがて、ビリビリ! とズボンが破れ、バリバリ! と股が裂けた。
 また少し、足が長くなった。

 

 

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