恋愛師範代の恋愛指南書 2
新年度がスタートし、あちらこちらで何かが始まっている。
入学、進学、就職、新生活、恋愛ーー。
恋愛師範代として、新しい恋を始める男子にアドバイスを送ろうと思う。
あんなに近くでやることないんだ。(橋田寿賀子ドラマ風)
昨今の恋愛マンガやドラマにおいて、「壁ドン」という必殺技が登場することがある。
本来の意味とはあまりに違ってしまっているが、すでに市民権を得ている。
これからの、あるいは現在進行中の恋愛において、壁ドンを使用するシーンがあるかもしれない。
しかし、今まで一度もやったことがないという壁ドン初心者は注意が必要だ。
女性の顔の横に、どんと手をつく。それから、決め台詞を吐く。
「俺だけを見ろよ」とか、「俺だけのミロだよ」だとか。
すると女性はこう返すはずだ。
「あぶないし」
そう。危ない。人様の顔の真横であんなことはしちゃいけないのだ。
怪我しちゃう。
理想と現実は違う。
警戒心が強かったり、下手に運動神経がいい子だと、モーションに驚いてとっさに顔をスライドさせてしまうかもしれない。
そうなってしまうと壁ドンではない。顔グシャになる。
突然アイアンクローをされた女性は、瞬時に結婚後のDVまで考えを及ばせるかもしれない。笑えない事態だ。
解決策は一つ。離せばいい。
女性の真正面に立ち、目いっぱい両手を広げる。
そのまま、ドン、と壁に手をつくと、自ずと二人の顔は触れるほど近くなる。
そうなればこっちのものだ。
決め台詞を言った後、一旦顔を右に振って、唇を突き出す。
次に顔を左に振る。その途中、正面を向く一瞬でキスだ。
おめでとう。それで女性はあなたのもの。
無理目な勝負でも、このメソッドに従えば勝率はぐんと上がるらしい。
打つ手がなくて困っている方も、勝負の一手を残すのみの方も、是非ともお試しあれ。
皆様の喜びの声をお待ちしている。
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