スウィーテスト多忙な日々

スウィーテスト多忙な日々

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怖いことするなよ。怖いから。

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インターホンが鳴った。夜中に。
 
我が家のインターホンは壊れていて、ピンポンと鳴らない。
「ピン」の部分がどうにかなっているので、ボタンを押すと「ポン」だけが鳴るようになっている。
昨晩、というか日付で言うと今日、それが鳴った。
午前二時頃だ。
 
ベッドに仰向けになり入眠を待っていた私は、それが何の音か、すぐには理解できなかった。
ただ、確かに聞いた。
はじめは、やはり寝ぼけているのかと思う。ああ、せっかく眠れそうだったのに、と。
頭上の壁掛け時計は文字盤が蓄光するタイプだが、時間が経った今は真っ暗だ。仕方なくスマートフォンに手を伸ばす。
画面から入ってくる光量を減らそうと、なるべく薄目であがいてみる。どうにか時間が確認できた瞬間、もう一度音が鳴った。
 
「ポーン」
 
体がビクリと動いて、その振動で脳が高速回転した。
インターホンだ。
我が家の、壊れたインターホン。
 
二時だぞ。
こんな時間に尋ねてくる人間がいるだろうか。心霊現象を一切信じていなくても、さすがに少し怖い。
人間だったとしたら? こんな夜中に尋ねてくるなんて、よっぽどの用だ。
私は足音を立てないように忍び足で部屋を出て、廊下へ。そこから玄関のドアが見えるが、外灯がついていないので外の様子は一切わからない。
 
闇と闇の中のわずかな何かを見つけようと、じっと目を凝らす。
が。結局、それ以降インターホンは鳴らなかったし、私はドアを開けなかった。
ということで、オチがつけられない。
だって怖かったんだもの。

 

アレきっとおばけよ、おばけ。

あれ? でもおばけって理由もなく勝手に来るかしら。

勝手に来て、私を殺すのかしら。最悪。

殺されたらクーリングオフもできやしない。

やめてよ。

やめてね!