私は明日、死ぬかもしれない
そう。
私は明日、死ぬかもしれない。
そう思い立ち、今この文章を書いている。
先に断っておくと、大病を患っているわけではないし、金銭不足から飢餓状態に陥っているわけでもない。もちろん、砂浜に刺さった高さ十メートルの鉄柱八本の上に、テーブルと椅子を乗せ、その上でブログを書いているというわけでもない。
人生何があるかわからない。ただそれだけの荒唐無稽な思い付きから絞り出された極論だ。
例えば実際に明日死ぬとしたら、何が原因だろうか。
第一に考えられる理由:コンセントからの発火
家の中にいくつコンセントがあって、いくつに電気動物のしっぽが刺さっているだろう。
考えればわかるかもしれないが、私はそれに使う脳内演算処理装置さえも持ち合わせていない。というか、私自身もコンセントに繋がっているので、自分自身が発火する可能性もある。
だから、今すぐ不要なプラグを抜こうにも、行動範囲が限られいるのだ。※1
その行動の結果、無理をした掃除機のように動作を停止してしまう可能性すらある。
この理由については深く追求しない方がいいかもしれない。
第二に考えられる理由:転倒
数日前のお笑い番組で、太田光が転倒して、あわや大惨事となるところだった。ちなみに、その後ろにいた岡村隆史は羽虫を叩き落そうとして骨折したことがある。youtubeで「岡村 骨折」で動画も見れる。
私は二日に一度、自室でサーキットトレーニングをしているので、何かの拍子に転倒して頭を打つ可能性は大いにある。対策を取らねば。
友人の金城に連絡をした。金城は緩衝材屋だ。ありとあらゆる衝撃を吸収するスペシャリストで、異性間トラブルのクッションにすらなる。
部屋中を柔らかくしよう。そうすればベッドも不要になり、一石二鳥だ。
第三に考えられる理由:突然死
これに関しては、対策を講じるのが少し難しい。普段から健康に気を遣い、少しの異変にも都度気を払わなければいけない。
思えば数日前の頭痛も、何かの予兆だったのかもしれない。私はカスタマーセンターに連絡を入れ、音声案内からオペレーターを呼び出した。
「すいません、数日前に一度、頭が痛くなったんですが、何か通信障害などはありませんでしたか?」※2
オペレーターは質問を返す。「何か、エラーコードなどは出ていませんでしたか?」
エラーコード……。私は腕にあるホクロ型のボタンを操作し、それを確認した。
脳内に映像が浮かび上がる。E・1・0・3。
「E103と出ています」
少しの沈黙の後、彼女は当該するエラーの文言を読み上げた。
なるほど。思い当たる節がある。私は感謝を告げ、通信を切る。
すぐに足の爪を切った。
これで、無数にある死のリスクの内、いくつかに先手を打つことができた。
私は一息つき、冷えたお茶を飲もうと冷蔵庫に向かう。
あっ、と思った時にはすでに遅く、足にコンセントがひっかかり、私の主電源に繋がるプラグは抜けてしまった。
しかし、今もこうして文章を打っている。そう、無停電電源装置という対策を打っていたのだ。
そうだ。次の行に保険の広告を張り付けよう。そうすればきっと莫大な広告収入が私の口座に入金されるはずだ。
おわり
※1、※2で挫折しなかった方は大した忍耐力です。あと一歩。宜しければワンクリックずつお願いします。