かれこれ十年近く前から不思議に思っていることがある。
その光景は物心ついたころから何千回と見てきたけれど、ある時から「不思議だな」と明確に意識し出した。
きっと、一度県外に出たから、故郷の風景にも少し興味を持てるようになったのだろうと思う。
家に帰る際に見える水平線。私の方が高い位置にいるはずなのに、水平線に向かって海が坂道を上るように、高くなっていくように見える。
一体どういう仕組みでそう見えるのだろう。
調べてみればすぐに答えは見つかりそうだけれども、私はあえてこの不思議を長年放ったままにしていた。そして誰にも教えずに、不思議だなぁと楽しんだ。近くに住むどれだけの人がこの不思議に気付いているのか、とか、どれだけの人がこの不思議を理解しているのか、と考えたりした。
しかし、ついに今日、理由を知ろうと行動を起こした。昨日に引き続きインターネットという便利な情報網を頼ると、すぐにその答えが出た。
なるほど。その答えを頭の中でイメージすると、大学を出ていない私の頼りない頭でも理解できる。
知識と言うほどの事でもないけれど、知っている事が一つ増えたのは少し嬉しい。だけど今回に関しては、知らないままの方が良かったかもしれないな、とほんの少し後悔した。
知っていた方がためになったり楽しかったりすることがたくさんあるのと同じように、知らない方が楽しいこともあるのだろう。知らない方がためになる、ということはないのかもしれないけれど。
この不思議の理由を知らない人のために、あえて答えは載せないことにする。
１、２の……ポカン。
謎の力を使い、私はまた不思議を不思議として楽しむことにした。
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