スウィーテスト多忙な日々

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生まれ変わらせられりれり

 

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 私はビーチにいた。
 暇を持て余し、外に出る気になり、ノートと小説と折りたたみのチェアを持って、近所のビーチへと向かったのだ。


 日曜日。海にはパーティーをしている学生らしき団体や、ベビーカーを押して散歩をする女性、アジア圏の旅行客らしい夫婦などが、思い思いにビーチを楽しんでいる。
私はそれらの塊から少し離れた東屋にチェアを開き、腰を下ろした。


 北風が吹いていて、少し冷える。
 一枚羽織るものを持ってくればよかったな、と思いながら読書をしていると、遠くの方からこちらに向けて歩いてくる、水着姿の男女が見えた。
 白人だ。
 もし、彼らに話しかけられたらどう話そうか。写真を取ってくれないか?と言われたら?
「Sure」でいいか。


 簡単そうな英単語の予習をしていると、不意に背後から声をかけられた。
「すいません」
 随分と驚いてしまった。私は肘掛のポケットに入れていた缶ジュースをこぼした。運悪く太ももの上に缶は倒れ、あわあわと手を動かす。
 そんな私の状況など我知らずといった様子で見守っていたその女は、しばらくして言った。
「変わってくれませんか?」


 何をだ。なんでもいいから拒否しようと、「いいですよ!」と勢いよく言った。
 間違えた。嫌ですよ!と言おうとしたのに。
 女は私の返事を聞くと、にこりとして服を脱いだ。文字盤の小さな腕時計と、ネックレスも外す。
 しくじったなぁ。
 仕方なく、私は彼女と変わった。交換だ。


 改めまして、はじめまして。どうも、こんばんは。中川美希になりました。


 ブラのサイズは、ピッタリだった。

 

 

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