青いウインドブレーカーの男の件
何を期待していたのかすら覚えていないが、私は牧場にいた。
牧場にはただただ広大なすすき野原があって、
私は牧場をひたすら歩いた。何か意味ありげな柵はあるものの、
結局何もなかったなぁ、と思いながら駐車場に戻るが、
車が、無い。
例えば駐車場が複数階に分かれているショッピングセンターなどで
そこまで広くないし、屋根のない平置きの駐車場だ。
「車が無いんですよ」
すぐ近くで声が聞こえた。
同じ理由で当惑している男が、
私はどうしていいのかわからなくなって、
こういう風によく、車の盗難にあう夢を見る。
自分が死ぬ夢や落下してしまう夢よりも現実味があって、
ただし、今日はその「よかった……」がなかった。
牧場関係者を一緒に連れてきてしまったのだ。
「コバエ、コバエ……」
青いウインドブレーカーを着たその男は、
この男は実在する人間なのか。
とりあえず写真を撮ってメルカリに出品してみると、
やったぜ!
私はすぐに郵便局へ車を走らせ、聞いたこともないような牧場宛てに男を発送した。
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