ちょ、まじ、やべぇから
人間の作った車に乗り、人間の作った道を走る。
窓の外を人間の作った建物が流れていき、
そこで私は改めて、ああ、すごいなぁと感じる。
2038年、人間の知識は、ある一つの到達点を迎えました。
かつてスマートフォンと呼ばれたようなデジタルデバイスは体の中
それは人間にとって手放しで喜べる悲願だったのか。
あなたたちは、
そんなことは起こり得ないと楽観視する人間が多くいる一方、
その頃には既に多くの人間の知能は大幅に低下していました。
「かわいい」「かっこいい」「うまい」「まずい」「やばい」
このような短絡的な発言しかできない人間が大量に育ちました。
人類の科学的発展は頂上に到達した途端、
科学者や技術者など、特定の能力を持った者すら、何一つ機械に敵いません。
人間は生存理由を失うことになります。ただ産まれ、ただ生き、
恩恵を受ける一方となってしまった人類は知能がさらに低下し、
人類は、退化を始めたのです。
そうして地球は巨大な老人ホームとなりました。
私たちは、
私たちは今日もあなたたち、老人たちを見守り続けるのです。
機械の作った車に乗り、機械の作った道を走る。
窓の外を機械の作った建物が流れていき、
そこで私は改めて、ああ……
なんという言葉を使えばいいんだろう。
別にいいか。なんでも。
宜しければワンクリックずつお願いします。